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非実在老人
【非実在老人】

100歳以上の高齢者の不在問題がメディアを賑わせています。
ネット上では件の東京都の青少年育成条例における「非実在青少年」をもじって、「非実在老人」問題と揶揄されていたりします。

年金問題のときもそうでしたが、担当役人にとってはパンドラの箱をあけられてしまったといったところでしょう。


さて、この問題に関連して相続について考えてみます。
仮に、これら100歳以上 の不在者の方が相続税が発生する方だとしたら相続税の申告についてはどうなるのでしょうか。


【相続の開始があったことを知っているケース】

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
一番最初に報じられた即身仏の件 については、相続人はもちろん相続の開始があったことを知っているわけですから、およそ30年前に相続の開始があったことになり、その知った日の翌日から 10ヶ月が申告期限となります。

ところで、相続税にも時効のようなものがあり、一定期間(「除斥期間」と言います)が過ぎると国は相続税を課税する権利が消滅します。
この場合、除斥期間は申告期限から5年です。

上記、即身仏のケースですと、即身仏ということで相続の開始があったことを知っているわけで、相続税の申告期限は、その知った日の翌日から10ヶ月。
また、除斥期間はその10ヶ月から5年。
要するに、30年前に即身仏になったということですから、除斥期間が既に経過しており、相続税の課税はされないことになってしまいます。


【相続の開始があったことを知らないケース】

では、即身仏のケース以外の多くの場合、つまり相続人でさえも所在を把握していない、生存を把握していないケースについてはどうで しょうか。
この場合には、相続人も相続の開始があったことを知っていませんから、相続税の申告期限は到来していません。
今回の騒動で既に 死亡していることを知ったのであれば、相続税の申告期限はその知った日から10ヶ月以内です。

一方、相続税の申告書の提出期限前においても、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月を経過した場合には、「決定」といって、国側で相続税を計算して課税することができます。
この場合の 除斥期間も、5年。
注意してほしいのが、「知った日」というところです。
相続税の申告期限は「知った日」が基準です。
ところが、 「決定」できる期間については、「知った日」とは条文に書かれていません。「死亡した日の翌日から10ヶ月」です。

結局、今回の多くの ケースのように例えば30年前に死亡している場合などは、相続人がその死亡を知っていようと、知っていまいと、「決定」できる期間は経過し、その除斥期間 も経過していることになります。要するに、相続税は課税されないことになります。

ただし、国や裁判所は、死亡したまま届け出なければ相続税を免れることができるかもしれない、という風潮を生みだすのを良しとしません。これら一連の騒動を契機に、このあたりの法令が整備されるかもしれません ね。



相続税の申告についてのご相談は、埼玉県の関根盛敏税理事務所まで



投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2010年08月06日) | PermaLink

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