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相続放棄のススメ
【金銭債務は遺産分割の対象外】

被相続人が死亡し相続が開始した場合、遺言書がなければ相続人の間で遺産分割協議を行うことになります。
この遺産分割協議の対象となるのは現預金とか不動産といったプラスの財産だけです。
マイナスの財産である金銭債務、いわば借金については、各相続人は法定相続分に従って分割された額を当然に負担することとされています。


【参考判例】

東京高等裁判所 昭和37年4月13日決定

遺産分割の対象となるものは、被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人の負担していた消極財産たる金銭債務は相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されるものであり、遺産分割によって分配されるものではない。


【相続放棄】


例えば、被相続人と同居しておらず、介護もしていないような相続人の場合、同居して介護をしてくれた相続人が財産を全部もらうべきで、自分は財産はいらない、というケースはよくあります。地方の旧家ですと長男が全て相続するところもまだまだあります。
この場合、財産をもらわない相続人は相続放棄の手続きをするべきなのですが、相続放棄の手続きまで行うことは多くありません。
相続放棄をする場合、裁判所へ申述書を提出したりする手間がかかるためです。
また、特に相続放棄の手続きをしなくても、「相続財産が0」ということで遺産分割協議を行うことで通常は問題ないからです。


【一切相続していないのに借金だけ負担する場合も】


しかし、財産を相続しないのであれば、多少の手間はかかりますが相続放棄をするべきです。
上述したように、金銭債務は各相続人が法定相続分で負担することになるからです。

相続人の間で、債務を誰が負担するのか決めることは自由ですが、そのことは債権者に対しては無関係なのです。

例えば、被相続人が銀行から借金をして建設した賃貸マンションのオーナーであったとします。
相続人のうち一人がこれを相続した場合、借金も併せて引き継ぎ、賃貸収入の中から返済していくことが多いと思われます。
ところが、その後この賃貸マンションと借金を引き継いだ相続人が賃貸収入を浪費し、借金の返済を怠っていた場合には、銀行は他の相続人に対して、それぞれの法定相続分に応じた返済を求めてきます。そしてこれを断ることはできません。
つまり、一切財産を相続していなくても、法定相続分に応じた借金の負担が降りかかってくる可能性があるのです。

実際の実務では、銀行もこのような面倒な事態を避けるために、他の信用ある相続人などを連帯保証人とするケースがほとんどではありますが。


【他人の金銭債務の連帯保証人となっているかどうかなんてわかりません】


銀行などの金融機関からの借金については、契約書などから相続人も容易に把握することが可能です。
しかし、被相続人が他人の借金の連帯保証人になっている場合、相続人がこれを把握することは困難です。
連帯保証人は借金をした本人の金銭消費貸借契約書に連名で記載するだけなので、連帯保証人には契約書原本は手元に残りませんし、そのコピーなど保管しておくこともほとんどないでしょう。また、罪悪感を感じているためか自分が誰かの借金の連帯保証人となっていることを、生前、相続人に伝えておくこともほとんどありません。

被相続人が亡くなった時点では被相続人が第三者の借金の連帯保証人となっていることを知らず、他の財産の遺産分割も終え、恙無く相続関係の手続きが終了して相続のことなんて忘れていた頃、連帯保証人であった被相続人の相続人に対して、債権者が借金の返済を迫るケースというものは少なくありません。もちろんその場合各相続人が法定相続分に応じて返済する義務があります。


【対策】

自分が亡くなった後に配偶者や子供たちに借金を背負わせる可能性があることを肝に銘じ、他人の連帯保証人にはならないことです。

また、財産を相続しない相続人は相続放棄の手続きをしておくことです。何ももらってないのに後日借金だけ相続することになりかねません。
このあたり、相続に精通していない税理士に相談しても適切な回答を得られません。

亡くなる側も残される側もリスクを最大限排除しておくことが円満な相続の秘訣です。


相続放棄から相続税申告まで 相続についてのご相談は埼玉県東松山市川越市さいたま市熊谷市をカバーする関根盛敏税理士事務所へ


投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2010年08月18日) | PermaLink

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