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過料
【自筆証書遺言を勝手に開封したら】

一般的な遺言書の種類として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
今回は、自筆証書遺言のお話。
自筆証書遺言とは、遺言者が全文、日付、氏名を自書して押印して作成するものです。
自宅でも簡単に作成できるということで、最近では書店等で遺言書キットとして作成マニュアルが販売されているのでご存知の方も多いでしょう。


【検認】

自筆証書遺言の注意点として、「検認」という手続きがあります。
遺言者の死後、自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。
家庭裁判所に連絡をして実際に「検認」の手続きが行われるまで、1~2ヵ月ほどかかります。
相続税の申告期限が迫っていたりすると、この1~2ヵ月は非常にイライラさせられますし、この間、預貯金の引出も行うことができません。


【勝手に開封すると罰金ですが…】

では、勝手に開封してしまった場合、どうなるのか。
家庭裁判所の検認を経ずに勝手に自筆証書遺言を開封した場合、過料といって5万円以下の罰金が科されます。

とはいっても、法律に詳しい人でなければ、遺言書と書かれた封筒を見つけた時点で、開封してしまうのが普通ではないでしょうか。

罰金については、裁判所の裁量で決められるようで、後日、いくら払えという通知が来ることになっています。
ところが、自筆証書遺言を勝手に開封したことで実際に罰金が科せられたという話を聞いたことがありません。「普通開封しちゃうよね、特に悪気がなかったみたいだし今回はお咎めなしでいいや」、と裁判所が考えてくれているのかどうかわかりませんが、多分そうだと思います。
現状、一般的には遺言書に対する知識が周知徹底されていないことを考慮してくれているのだと思うのです。


【役員変更登記を忘れると…】


会社の取締役の任期は2年が原則です。2年で取締役の任期が満了し、改選されます。
要するに、取締役をずっと続けるとしても、2年に1回、役員変更登記が必要となります。
が、この役員変更登記を忘れがちです。
忘れると、罰金です。
100万円以下の過料です。

ここで注意してほしいのは、役員変更登記を怠った場合には、ほとんどの確率で過料がかかってきます。
自筆証書遺言を勝手に開封したときとは違います。
同じ過料なのになぜかといえば、自筆証書遺言の場合、開封するのは法律に不慣れな一般人で検認という手続きを知らなくても仕方ない、ということでしょう。
しかし、役員変更登記の懈怠については、会社を経営する立場にある取締役たる者が法律で決められた登記を怠るとは何事だ、ということで当然のごとく罰金を科してくるのだと思います。

この登記懈怠による過料は法務局、裁判所の裁量で異なってくるのですが、経験上、忘れていた回数の登記にかかる費用分くらいはかかってくるようです。
一回忘れていたのであれば、印紙代1万円と司法書士に対する手数料数万円の合計5万円くらいでしょうか。


【税収不足の影響も】


役員変更登記の懈怠について実際に過料を請求されるようになったのはここ最近のことなのです。
以前は、自筆証書遺言の場合と同様にお目こぼしが多々ありました。
きっちりと過料を請求されるようになった理由のひとつに、税収不足は間違いなくあるでしょう。
お目こぼししている場合ではない、ということです。

そう考えると、自筆証書遺言を検認を経ずに開封した場合についても、今後、きっちりと過料を請求されることになるかもしれません。
そもそも、法律上は5万円以下の過料となっているわけですから、法律に則り面倒な検認の手続きを経ている市民からしたら、それを科さないのは裁判所の職務怠慢ですし、納得いかないでしょう。

いずれにしろ、過料が科されるような事実が発生する前に対処しておくことが肝要です。


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投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2010年08月19日) | PermaLink

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