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相続手続の中で最も時間がかかること
相続手続で一番時間がかかることはなんでしょうか。
相続税の計算でしょうか。
遺産分割協議でしょうか。

相続税の計算については、不動産評価の際には広大地の検討などで時間がかかることもあります。
しかし、広大地に該当するような不動産を所有されていない場合には当然ですがその時間はかかりません。
遺産分割協議についても、争族となるケースも多々ありますが、そうでないケースもあります。
これらについては時間がかかるかどうかはケースバイケースです。

しかし、どんな相続手続であっても必ず時間がかかることがあります。

それは相続手続に必要な資料収集です。

相続人様から委任状をいただいて我々税理士等の専門家が職務上の権限により資料請求をすることも可能ですが、印鑑証明書等相続人様でないと取得できないものもあります。
また、個人情報保護法のせいもありスムーズにいきません。
もちろん私が請求することもあります。
ただし、手間と時間を考えると報酬が発生せざるをえません。
なので、様々な事情を考慮して、当事務所では原則的には相続人様ご本人に資料収集をお願いしています。

ここでひとつ問題があります。

通常の方であれば相続手続なんて一生のうちで何回も経験しません。
多くて3.4回でしょうか。
1.2回という方がほとんどでしょう。

そのような事情から次のような弊害が生じます。


1.相続手続に必要な資料が何なのか、わからない。

2.その資料はどこに行けばもらえるのか、わからない。

3.その資料の請求の仕方が、わからない。


1.2については専門家に手続を依頼すれば、必要な資料と請求場所を教えてくれるでしょう。

問題は3です。

経験上、ほとんどの場合、これら資料収集が一度で終わることはありません。
数回同じ役所に行って同じ資料を請求することになります。

請求した資料に不備があることがほとんどだからです。

例えば、戸籍謄本。
相続手続に必要な戸籍謄本は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本、です。
この旨を相続人様にご説明申しあげても大概の場合、「?」というお顔をされます。
実は、戸籍ってひとつじゃないんです。
何度か法律が改正されて、戸籍が作り変えられています。
その改正される前の戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。
こういったものも全て収集しなければなりませんが、何も知らないと最新の戸籍謄本を取得してきて終わり、ということが多々あります。
現状、高齢の方が亡くなる場合、その最も古い戸籍は明治時代くらいにまで当然さかのぼります。
転籍等を繰り返している場合、ひとつの役所だけで終わらず、いくつもの役所をはしごすることになります。
これを追いかけていくことは非常に苦労しますし、日本全国で転籍しているとそれだけで請求に時間がかかります。

例えば、銀行の残高証明書。
被相続人様が亡くなった日の残高証明書を請求しなければなりませんが、請求日の残高証明書を請求されてしまうことがあります。
取り直しです。

例えば、固定資産評価証明書。
被相続人様が亡くなった日の属する年の固定資産評価証明書を請求しなければなりませんが、請求日の属する年の固定資産評価証明書を請求してしまうことがあります。
取り直しです。


つまり、「これこれの資料を請求してください」、と専門家が伝えても、相続人様がそのとおりの資料を請求することが実際は難しいのです。
そもそも手続になれていないですし、請求をする相続人様自身も高齢であったりするからです。


何回も役所を往復するのは時間がかかります。
ましてや実際に訪問することができずに郵送などでやりとりする場合なんかは平気で数週間かかってしまいます。


この時間と手間を排除するために、私から相続人様に資料請求をお願いする場合には、「このとおり役所に話してください」、と台本を書くこともあります。
最終的にはこれを役所の窓口で見せてください、と。

そうすれば一言一句間違うことなく役所の方と意思疎通ができますから。


そして私の場合、その資料を請求に行く日程も打合せの段階で決めてしまいます。
いつまで、という期限ではなく「日」を決めてしまいます。
もっというと「何時」という時間も指定します。
そしてその日の夕方に確認の電話を入れます。
そこまでするんですか、とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そこまでします。
でも、あまり怒られたり、嫌がられたりしたことってありません。
逆に、「指定されないとズルズルと先延ばしにしてしまうから、指定された方がありがたかった」と後々感謝を頂戴することもあります。


これは相続のお話にとどまりません。
所得税の確定申告、住宅ローンの申請、不動産の売買、法人税の申告、贈与税の申告等々全ての事象にあてはまることです。


私が直接関与することのできない部分のロスをどこまで軽減できるかで、最終的にはご相談者様の利益につながると思っています。
そのためには時には厳しくご指導することも必要なのかな、と。



新たな視座を提供する税務・相続のキュレーター税理士関根盛敏|相続税申告、贈与税申告、不動産譲渡、信託、遺言、生前贈与|



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投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2011年05月24日) | PermaLink

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