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税法の地雷 譲渡所得
相続対策のご相談がありました。
ご相談者様は当初弁護士さんにご相談をしていたそうですが、弊社HPをご覧になって税務についてのセカンドオピニオンとしてご相談にみられたそうです。
ご相談内容を簡単にまとめますと。
ご相談者様:お父様
相続財産:賃貸用ビルとその敷地
相続人:子供3人
このような状況の下、弁護士さんと相談した結果、次のような対策を実行することになったそうです。
1.ビルとその敷地を3人の子供に分割して相続させることはできないし、かといって、3人の共有にしては後々面倒なことになりそうなので共有は避けたい。
2.そこで子供3人を役員とした法人を設立し、その法人にビルとその敷地を遺贈させる。
3.ビルの賃貸収入は法人へ、その法人から役員である子供3人へ役員報酬を。
遺贈ってのは遺言で財産を譲ることです。
要するに、ビルとその敷地を法人名義にして、ビルからあがってくる賃貸収入をいったん法人へ入金し、子供3人は役員報酬を受け取る、といった流れです。
でもこれ、相続対策としては合格点なのですが、相続「税」対策としては落第点です。
(正確には相続税ではなく所得税なのですが、同じ範疇の税務対策ということで相続「税」としています)
お父様が法人に対してビルを遺贈するとお父様に所得税の一種「譲渡所得」が生じます。
実際、遺贈の時点ではお父様は亡くなっていますから、相続人の子供3人が準確定申告で納税することになります。
さらに、遺贈を受けた法人側でも法人税が課税されます。
さらにさらに、このケースですと相続税評価額(実勢価格の8割程度)は使えず、実勢価格で不動産の評価をしなければなりません。
例えば。
ざっくりと考えますよ。
ビルの相続税評価額:8億円
ビルの実勢価格:10億円
だったとします。
この場合、譲渡所得は20%、法人税50%とすると。
譲渡所得税:2億円
法人税:5億円
相続税評価額は8億円の物件にもかかわらず、譲渡所得税と法人税合わせて現金で7億円(!)を納付しなければならないのです。
このあたりをご相談者様にご説明申し上げると、全然理解できないご様子です。
これが譲渡所得が税法の地雷たる所以です。
法律のプロである弁護士すら気付かないのに一般の方がそうそう理解できないのは仕方ありません。
1.譲渡所得は値上がり益課税(所得税法上「譲渡」と「売買」の概念は違います)
2.贈与税は相続税の補完税(法人は死なないので相続税を補完する贈与税という概念はありません)
といったところをかみ砕いて何べんもお話して何とかご理解、納得していただきました。
今回の対策を実行すると多額の税金がかかる旨を弁護士さんに伝え、対策のやり直しを検討するそうです。
不動産を移転する場合の税務にはたくさんの地雷が埋め込まれています。
見えないんですね。
そんな税金がかかるなんて思ってもいなかった。
というご相談をよく聞きます。
今回のケースのように事前にご相談いただければ対策の変更が可能ですけれど、多くの場合は実行後に税務調査で突然明らかにされます。
このあたり税理士でも知らない方がかなりいらっしゃいます。
弁護士さんも最近では税務に強い方が多くなりましたが、それでも今回のケースのように不慣れな方がいらっしゃいます。
そこで、こんなテストがあります。
AがBに以下の不動産を贈与します。
取得価額1億円、相続税評価額3億円、実勢価格5億円
A、Bがそれぞれ個人と法人の場合の課税関係はどうなるか。
個人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から個人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
個人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から法人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
法人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から個人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
法人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から法人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
税理士であれば条文番号とともに回答できなければいけない問題です。
他にも不動産を扱う業者さんや司法書士さんあたりも細かい税金名や金額はわからなくても、「これは何かヤバい」と察知する能力は身につけておきたいところです。
「何かヤバい」とわかれば事前に確認することができるからです。
税法の地雷。
後の祭りとならぬようご注意いただきたいところです。
(問題の回答は顧問税理士さんに聞いてくださいね)
新たな視座を提供する税務・相続のキュレーター関根盛敏税理士事務所|譲渡所得/不動産売買/資産活用/相続対策/地主対策/生前贈与/セカンドオピニオン|
ご相談者様は当初弁護士さんにご相談をしていたそうですが、弊社HPをご覧になって税務についてのセカンドオピニオンとしてご相談にみられたそうです。
ご相談内容を簡単にまとめますと。
ご相談者様:お父様
相続財産:賃貸用ビルとその敷地
相続人:子供3人
このような状況の下、弁護士さんと相談した結果、次のような対策を実行することになったそうです。
1.ビルとその敷地を3人の子供に分割して相続させることはできないし、かといって、3人の共有にしては後々面倒なことになりそうなので共有は避けたい。
2.そこで子供3人を役員とした法人を設立し、その法人にビルとその敷地を遺贈させる。
3.ビルの賃貸収入は法人へ、その法人から役員である子供3人へ役員報酬を。
遺贈ってのは遺言で財産を譲ることです。
要するに、ビルとその敷地を法人名義にして、ビルからあがってくる賃貸収入をいったん法人へ入金し、子供3人は役員報酬を受け取る、といった流れです。
でもこれ、相続対策としては合格点なのですが、相続「税」対策としては落第点です。
(正確には相続税ではなく所得税なのですが、同じ範疇の税務対策ということで相続「税」としています)
お父様が法人に対してビルを遺贈するとお父様に所得税の一種「譲渡所得」が生じます。
実際、遺贈の時点ではお父様は亡くなっていますから、相続人の子供3人が準確定申告で納税することになります。
さらに、遺贈を受けた法人側でも法人税が課税されます。
さらにさらに、このケースですと相続税評価額(実勢価格の8割程度)は使えず、実勢価格で不動産の評価をしなければなりません。
例えば。
ざっくりと考えますよ。
ビルの相続税評価額:8億円
ビルの実勢価格:10億円
だったとします。
この場合、譲渡所得は20%、法人税50%とすると。
譲渡所得税:2億円
法人税:5億円
相続税評価額は8億円の物件にもかかわらず、譲渡所得税と法人税合わせて現金で7億円(!)を納付しなければならないのです。
このあたりをご相談者様にご説明申し上げると、全然理解できないご様子です。
これが譲渡所得が税法の地雷たる所以です。
法律のプロである弁護士すら気付かないのに一般の方がそうそう理解できないのは仕方ありません。
1.譲渡所得は値上がり益課税(所得税法上「譲渡」と「売買」の概念は違います)
2.贈与税は相続税の補完税(法人は死なないので相続税を補完する贈与税という概念はありません)
といったところをかみ砕いて何べんもお話して何とかご理解、納得していただきました。
今回の対策を実行すると多額の税金がかかる旨を弁護士さんに伝え、対策のやり直しを検討するそうです。
不動産を移転する場合の税務にはたくさんの地雷が埋め込まれています。
見えないんですね。
そんな税金がかかるなんて思ってもいなかった。
というご相談をよく聞きます。
今回のケースのように事前にご相談いただければ対策の変更が可能ですけれど、多くの場合は実行後に税務調査で突然明らかにされます。
このあたり税理士でも知らない方がかなりいらっしゃいます。
弁護士さんも最近では税務に強い方が多くなりましたが、それでも今回のケースのように不慣れな方がいらっしゃいます。
そこで、こんなテストがあります。
AがBに以下の不動産を贈与します。
取得価額1億円、相続税評価額3億円、実勢価格5億円
A、Bがそれぞれ個人と法人の場合の課税関係はどうなるか。
個人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から個人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
個人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から法人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
法人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から個人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
法人A ( 税金名 )( 課税金額 ) から法人B ( 税金名 )( 課税金額 ) への贈与
税理士であれば条文番号とともに回答できなければいけない問題です。
他にも不動産を扱う業者さんや司法書士さんあたりも細かい税金名や金額はわからなくても、「これは何かヤバい」と察知する能力は身につけておきたいところです。
「何かヤバい」とわかれば事前に確認することができるからです。
税法の地雷。
後の祭りとならぬようご注意いただきたいところです。
(問題の回答は顧問税理士さんに聞いてくださいね)
新たな視座を提供する税務・相続のキュレーター関根盛敏税理士事務所|譲渡所得/不動産売買/資産活用/相続対策/地主対策/生前贈与/セカンドオピニオン|
投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2011年08月17日) | PermaLink
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